一緒に食事をとること

青いポスト2000年8月11日号より


 
  
他の人と一緒に食事を摂ること、すなわち、「会食」ができないということを悩んで相談に来られる方がいます。「会食不能症候群」という名前を付けている専門家もいるようです。
Aさんは、ある時、友人と外で食事を摂っていて、急に吐き気がしてトイレに向かいました。その時は何とか切り抜けたのですが、その後から、外食ができなくなりました。尋ねてみると、もともと他の人と一緒に食事をとるのが苦手だということでした。
このような人達は、最近増えてきているようです。年齢は、10代から20代が多いのですが、病院を受診することは、あまりありませんから、実際の数は、はっきりはわかりません。
その原因は、詳しくは分かっていないのですが、小さいときから、楽しく家族みんなで食事を摂るという習慣が無いのも、その一因と考えられています。両親が共に働いていたり、子どもは子どもで、部活動や習い事等で忙しく、家族のそれぞれが時間に追われる生活をしていて、一緒に食事を摂る時間帯がないのです。ちなみに、一人一人が、それぞれ別々に食事を摂ることを「個食」と言うそうです。
食事を摂ることは、単に栄養物を体内に入れることだけではありません。一緒に食卓を囲むことで、家族のそれぞれが、最近経験したことや感じていることを話し、周りの人が、それに耳を傾けます。たわいのない話に、みんなが大声で笑ったりします。誰かが元気なく下を向いていると、その日に何かあったのかなと心配します。家庭的なリラックスした雰囲気の中で、これらの情緒的なやりとりが、ごく自然に行われているのです。

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佐藤直紀
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