心に優しい街に

高齢者の心の健康について

メモール通信2000年3月号より)


 現在、バリアフリーという言葉が、新聞やテレビによく登場します。道路に段差を無くしたり、車椅子でも入りやすい構造にしたりすることが進められています。これによって障害を持った人や高齢者にとって、より住みよい街作りが徐々に実現されて行くでしょう。


 ところで、秋田県では人口あたりの自殺の割合が全国的に見ても高いことが、時々マスコミで取り上げられます。中でも高齢者の自殺が多いことが問題にされています。これからの高齢化社会を考える時に、この高齢者の心の健康の問題は避けて通ることができません。


 実際、高齢者は、様々なストレスに曝される危険があります。愛する人や友人を失ったり、身体的な健康を失ったり、若い頃にくらべて体力が低下したりという具合に、各種の喪失体験に出会う可能性があります。そして、それによって、気分的に落ち込んだ状態、すなわち「うつ状態」を呈することが少なくありません。


 うつ状態になると、生気がなくなり、楽しみを感じられなくなります。食欲がなくなり、よく眠れなくなります。将来を悲観的にしか考えられなくなります。自殺を考えたりします。しかし、うつ状態は、適切な対処と治療によって改善できるものです。このことが、とても重要です。なぜなら、うつ状態の人自身は、治療によって良くなることが思いつきません。したがって、まわりの人のサポートが何より大切なのです。


 周囲の人が、お互いに関心を持って見守り、元気を無くしている人がいれば支えてあげることが大切です。そして、落ち込んだ状態が続いている場合には、適切な治療に結びつけることによって、その改善を図ることができるのです。孤独にならない、孤独にさせない、心に優しい街になってくれれば良いなと思います。

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佐藤直紀
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